おたよりの内容:模擬面接で「雰囲気が暗い」と指摘を受けました。自分は落ち着いたキャラなので、そのように見られたのだと思います。やはり面接で暗いというのは不利で、無理をしてでも明るく演じるべきなのでしょうか?
結論から言うと、私は明るく演じるべきだと考えます。少なくとも、「自分は明るい人柄だ」と演出することは、面接でとても重要です。
なぜそう考えるのか、その理由をじっくり説明します。
「暗い」とは?
今回のご質問には「暗い」という表現がありましたので、まず「暗い」とはそもそも何なのかを考えてみましょう。
「暗さ」や、その反対の「明るさ」とは何なのか。何に関わる概念なのかといえば、心理学でいう「外向性」という性格特性に関わる概念だと考えられます。
少し難しく感じたかもしれません。心理学では、人の性格を「ビッグファイブ」と呼ばれる5つの要素で説明することがよくあります。
| ビックファイブの5要素 | ||||
| ①調和性 | ②開放性 | ③外向性 | ④誠実性 | ⑤情緒安定性 |
この5つの要素の1つに、「外向性」という性格特性があります。この外向性が、いま話題にしている「暗さ」や「明るさ」に関わる概念です。
では、外向性とはひと言でいうと何か。誤解を恐れずにいえば、「人との関わりを楽しめること」です。
つまり、自分以外の他者と関わり、その関わりの中に楽しさを見いだす性質のことを外向性と呼びます。
それでも「分かるようで分からない」という方もいるかもしれませんので、具体例で紹介しましょう。
ここからは、ちいかわを例に説明します。

『ちいかわ』ナガノ/講談社
こちらは、ちいかわの無二の親友、ハチワレです。ちいかわにそれほど詳しくない方でも、ハチワレを見たことや聞いたことがある方は多いでしょう。
おそらく皆さんは、ハチワレに明るいキャラクターだという印象を持っているはずです。
そう判断する理由は何でしょうか。いろいろあると思いますが、理由の1つは、ハチワレが他者と関わるとき、とても楽しそうにしていることです。
ちいかわ、うさぎ、シーサー、モモンガ、ラッコ先生。さまざまな相手と関わる中で、ハチワレは明らかに楽しさを見いだしています。少なくとも、他者との関わりを避けるような描写は、ハチワレには一切見られません。
皆さんがハチワレを明るいと感じるのは、「他者との関わりの中に楽しみを見いだしているから」です。つまりこの観点からいえば、ハチワレは明らかに外向性が高く、だからこそ「明るい」と感じられるのです。
これを踏まえると、「暗さ」はその反対の概念になります。端的にいえば、他者との関わりの中に楽しさを見いだしていない性質や様子を、私たちは「暗い」と呼んでいるのです。
皆さんも、明るい人と暗い人をそれぞれ思い浮かべてみてください。皆さんが思い浮かべた明るい人は、他者との関わりの中に何らかの楽しさを見いだしていそうだ、という印象があるはずです。
一方で、周りには「少し暗い人だな」と感じる方も少なからずいるでしょう。そうした方をよく観察してみると、おそらく他者との関わりの中に楽しさを見いだしていません。
少なくとも、「あの人は人と関わるのが楽しくなさそうだ」と感じさせる何かが、間違いなく存在しているはずです。
ここまでをまとめると、「暗い」とは、他者との関わりの中に楽しさを見いだしていない様子のことです。まずは、そのように定義しておきましょう。
暗いと面接で不利?
次に、暗いと面接で不利なのかについてです。端的にいえば、暗さは面接で不利に働くと私は確信しています。
なぜなら、明るさには価値がありますが、暗さにはそれ単体としての価値がないからです。
ここでは分かりやすくするために、市区町村を受験している場面を考えてみましょう。
市区町村の仕事は、住民との距離がとても近いものです。つまり、ある種のサービス業だといえます。
サービス業、いわゆる第三次産業には、「感情労働を求められる」という特徴があります。
市区町村では、住民と接する中で暴言を吐かれたり、苦情を受けたりと、つらい思いをすることもあるでしょう。
そのとき、人は自然と落ち込んでしまうものです。
だからといって、窓口で厳しいことを言われたからと落ち込んだままでいてよいのかといえば、そうはいきません。
どんなにつらいことがあっても、次に住民と接するときには、明るく笑顔で対応しなければなりません。
第三次産業では、明るく振る舞うことが求められます。このように感情さえコントロールすることが、現代の労働市場では求められているのです。
市区町村でも同じように、つらいことがあって暗くなりかけたときでも、明るく振る舞わなければなりません。
そう考えると、面接という場で明るく振る舞える人、明るそうな人が評価されるのは当然でしょう。
つらいときにも明るく振る舞わなければならないのがサービス業です。面接で明るく見える人は、それが実際にできる人だと判断されるので、評価されるわけです。
では、暗い人はどうでしょうか。「サービス業には向いていない」と判断されてしまいます。
つらくても明るく振る舞わなければならないのに、暗い人は暗いままでいる可能性があります。だとすれば、評価されるのはやはり「明るさのある人」です。
まとめると、面接で暗いことは不利なのか。答えは、不利に働きます。明るさには価値がありますが、暗さにはそれ単体としての価値がないからです。
楽しくなさそう
では、模擬面接官を含め、面接官が暗さを感じる原因は何なのか。答えはとてもシンプルで、面接官と話すのが楽しくなさそうに見えるからです。
ここで、面接で不合格になりがちな方ではなく、上位で合格している人によく見られる特徴を1つ紹介します。
私は予備校の講師をしているので、模擬面接や本番の面接が終わった後に、受験生の皆さんに感想を伺います。「面接はどうでしたか」「模擬面接を受けてみて、感想はいかがですか」といったことを聞くのです。
そのとき、上位で合格する人がよく口にする言葉の1つに、「あっという間で、もう少し話したかったです!」というものがあります。こう話す方は、とても多いのです。
これには、講師になってすぐに気づきました。上位合格者は、この言葉をよく口にします。
では、なぜこうした言葉が出てくるのか。理由はとても簡単です。
彼らは、実際に面接を楽しんでいるのです。面接官という自分以外の他者と話し、関わることを、心の底から楽しんでいます。
もちろん面接は評価される場ですから、彼らにも緊張や不安はあります。それでも、面接でいろいろな話をしているうちに、その時間が楽しくなってしまうのです。
余談ですが、私自身もこの気持ちはとてもよく分かります。公務員試験ではさまざまな組織を受験しましたが、面接はわりと楽しかったという印象が残っています。
もちろん、別の記事でも触れたように、圧迫されたり、理不尽に詰められたりしたこともありました(笑)そのときはさすがに驚きましたが、全体として見れば、もう少し話したいと思うタイプでした。
ですから、上位合格者の「あっという間だった」「話し足りなかった」という気持ちがよく分かるのです。
いずれにしても、上位で合格する人の多くは実際に面接を楽しんでいるからこそ、もう少し話したかったという気持ちになるわけです。
それに比べて、模擬面接や本試験で低い評価を受けて不合格になってしまう人は、面接を楽しんでいないように見えます。
面接を楽しんでいないというより、面接官との会話を「一刻も早く終わらせたい」という空気が強く出ているのです。
模擬面接でも、「質問されるのが嫌なのだろう」「早く終わってほしいと感じているのだろう」と思わせる人がいます。少なくとも、その場を楽しんでいる雰囲気がまったく伝わってこないことは、わりと多いものです。
このように他者との会話を楽しんでいない雰囲気が出てしまうから、「この人は暗い人だ」と解釈されてしまうのです。
明るさを出す方法
では、「少しでも明るい人に見られたい」「少なくとも暗い人だとは思われたくない」という場合、どのような点に注意すればよいのでしょうか。挙げればきりがありませんが、ここでは3つに絞って紹介します。
①笑顔
1つ目は「笑顔」です。これを説明するために、もう一度ハチワレを例に挙げます。ハチワレは、基本的にどんなときも笑顔を欠かしません。

『ちいかわ』ナガノ/講談社
もちろん、追い込まれたときに渋い顔をしたり、「〇〇ってコト!?」の場面で笑顔がなかったりすることはあります。それ以外の場面では、ハチワレは常に笑顔を絶やしません。
だからこそ皆さんは、ハチワレを「明るくていいやつだ」と感じるのです。
明るさを出すための基本中の基本は、ハチワレのような「笑顔」だといえるでしょう。
ぜひ普段から、ハチワレのようなミリオンダラースマイルを心がけてください。
②大きな声
2つ目は「大きな声」です。こちらは、仲良し3人組の一角を占めるうさぎ。

『ちいかわ』ナガノ/講談社
うさぎの特徴といえば、何といっても「大きな声」でしょう。ハチワレから「声でかっ」と言われるほどのビッグボイスが、うさぎの持ち味になっています。
皆さんも、ハチワレと同じように、うさぎに明るいキャラクターだという印象を持っているでしょう。少なくとも、うさぎから暗さは感じられないはずです。
では、なぜうさぎを暗くないと感じるのか。理由の1つは間違いなく、よく通る声を出していることにあります。
暗いと感じる人を頭に思い浮かべてみてください。その中に声の大きい人は、まず間違いなくいません。
反対に、明るいと感じる人の多くは、声が大きい、少なくとも声を張っているという印象があるでしょう。
明るさを演出するうえで、「声の大きさ」はとても重要な要素です。普段から声を張り、大きな声で話す。これを意識するだけでも、面接での評価は変わってくるはずです。
③ポジティブ表現
3つ目は「ポジティブな表現」です。こちらは、ハチワレと並ぶ屈指のポジティブプレイヤー、シーサー。

『ちいかわ』ナガノ/講談社
シーサーは、ハチワレと並んでかなり人気のあるキャラクターだと思います。では、なぜみんなシーサーが好きなのか。今回の文脈でいえば、当然「明るいから」です。
シーサーの明るさを支えている要素の1つは、間違いなく、前向きな言葉づかいやポジティブな行動がとても多いことです。
たとえば、シーサーがよく口にする言葉の1つに「頑張ります!」があります。また、働きたいと思っているラーメン屋「郎」で面接を受けたいと思ったときには、「ここで働かせてください!」と、とても前向きに伝えています。それも、大きな声と笑顔を絶やさずに。
いずれにしても、シーサーには作中でネガティブな表現を使う描写が1コマもありません。
シーサーは、常にポジティブな表現と前向きな言葉しか口にしていません。こうした前向きな姿勢とポジティブな表現が、シーサーの人気の理由の1つになっているのは間違いないでしょう。
私もシーサーがとても好きです。その理由の1つは、どんな困難に出会っても「前向きに乗り越えるんだ」「絶対にこれを超えてやる」「頑張っていくんだ!」という姿勢が見えるからです。
皆さんの周りにいる明るい方々も、主にポジティブな表現を使っているはずです。
自分を明るい人だと見てもらうためには、ネガティブな表現を使ってはいけません。自分が使う言葉や言い回しを、できる限りポジティブな表現に置き換えることを意識してみてください。
以上が、今回のご質問への回答です。面接で「この人は明るい人だ」「感じのよい人だ」と評価してもらえるよう、自分の明るさをしっかり意識してトレーニングを続けてください。
なお、面接で堂々と話すためのコツについては、下記の記事で詳しく解説しています。

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