【公務員試験】きっかけが消極的だとNG?

【相談内容】

自分は、現在大学3年生で、公務員志望です。
2年の半ばから、予備校に入り、勉強しています。公務員に関するブログを読み漁るうちに、自分が公務員に向いているかどうか、このまま公務員になるべきかどうか、悩んでしまうようになりました。
といいますのも、自分がなぜ公務員になりたいのか、考えてみたときに、ワークライフバランスがとりやすい、給料が安定している、ノルマがない、民間に興味のある分野がない、コツコツ勉強することが得意だから、公務員試験が向いていると思った、、、など、公務員を志望するにあたり、積極的な動機が見つからない、と思ってしまったのです。
そして、公務員系のブログを読んでいると、そういった消極的な動機で公務員になると、後悔する可能性が高い、といったことが書かれており、モチベーションが下がってきています。
自分は、このまま公務員を目指すべきかどうか、また、モチベーションをどう維持したらいいか、先生にご相談したいです。よろしくお願いいたします。

【はじめに】

なるほど。
これは真面目に取り組んでいる方ほどハマりやすい「沼」ですよね。
いつもどおり、私見を申し述べたいと思います。

なお、下記のYouTube動画でも解説を行っているので、併せてご視聴ください。

筒井からの回答

まず公務員を目指すべきかどうかに関してなんですけど、これは正直僕のほうからは何も言えないというのが本音ですね。

どうしてかといいますと、これ公務員試験じゃなくて登山に置き換えてみるといいかなぁと思うんですけれども。私達の仕事っていうのは、あの山に登りたいんですっていう人に対して、じゃあだいたい装備品はこういうのが必要ですね、ルートとしてはこれがいいでしょう、日程はこのぐらいかかりますっていうのをご案内していく、あるいはアドバイスしていく、サポートしていくという仕事なんですよ。

なので、どの山に登るべきかっていうのは僕らのほうでは決められないっていうのが正直なところです。だから、この部分については、質問者さんを含めてね、受験生の方々自身が、どこを登ろうかっていうのを決めるしかないんじゃないかなというふうに個人的に思います。

なので、何をすべきっていうのはちょっと言えない。ただね、そのうえで何か参考になるお話をしたいと思います。

で、これ質問の文面を拝見していると、公務員を目指す積極的な動機がないんです、みたいな。割と消極的な理由で、みたいな。

そういう話ですよね。で、僕それ全く問題じゃないと思うんですよ。

全然いいんじゃないのって思います。どういうことかというと、僕自身が公務員になるときに消極的な理由でなってるから、という感じです。

ちょっとこれ僕の話になっちゃうんですけれども、僕は公務員になる前に大学院に行ってたんですよ。経済学の勉強、研究ですかね、っていうのをやってたんです。

で、修士に行くじゃないですか。そこから研究者になりたいなぁと思って、博士行くかどうかというときに、当時の指導教官に相談をしたんですよ。

そしたらですね、君は才能がないからやめたほうがいいと。もちろん、そんな火の玉ストレートではなかったですよ。もうちょっとマイルドに、僕を慮って優しい表現で言ってくださったんですけれども。

でも、そういう感じのニュアンスのことを仰ったんですよ。

で、そっかーと。まぁ、それで諦めちゃってるから、やっぱり僕は向いてなかったんだと思うんですけど。

そこから当たり前ですけど就職しなきゃじゃないですか。で、せっかくだったら経済学勉強してきたし、経済学を何か活かせたらなと。

とくに、僕は教育経済学という分野を研究してきたので、それに関連する何か仕事に就けたらなっていうのがザックリあったんですよ。で、あとは、でもやっぱり博士行きたいしなぁ、みたいな。

働きながらでもいいから行けないかなぁ、みたいな。そういう気持ちがあって。

で、それを色々考えていった結果として、公務員というのが出てきたんですよ。何でかっていうと、行政の仕事の中に、いわゆる教育サービスっていうのがあるじゃないですか、部分的に。

だから、自分の知見を活かせるんじゃないかっていうのがありますよね。あとは公務員試験を突破するのに、経済学、大事になってくるじゃないですか。

なるほどなるほどと。で、あとは組織にもよりますけど、公務員って、なってから例えば公費派遣で大学に行かせてもらえたりとか、あるいは公費派遣じゃなくても、ちょっと何年間か休職して大学に行かせてもらえたりとか、あるいは働きながらね、フルタイムで働きながらアフターファイブで大学に行くだったりとか、まぁそういうこともでき得る職場だと。

ということで僕は選んだんですよ。だから、何か凄くパッショネートな思いがあって公務員を選びましたっていうことでは全然ないんですよ。

めちゃめちゃ消極的。徹頭徹尾自分を向いてる、みたいな感じだったんですよ。

でもね、僕思うんですけど、皆そうなんじゃないの?と思うんですよね。もちろん中にはいると思うんですよ。

公務員としてこの国を良くしていきたいとかね、社会・地域を、みたいな。それはそれでいいと思うんです。素晴らしいと思うんですよ。

なんですけど、じゃあ全員がそうかっていったら、やっぱそうじゃないですよね。どっちかっていうと、質問者さんみたいに安定した暮らしが欲しいだったりとか、クビになるのは怖いだったりとか、そういう気持ちで目指す人のほうが圧倒的多数だと思いますよ。

Noエビデンスですけど。でも、絶対そうだと思う。

だから質問者さんはね、何か消極的な理由しかないということに凄くネガティブな感情、あんま良くないんじゃないかなと思ってるかもしれないんですけれども、全然気にすることないと思います。

人が仕事に対して何を求めるのかなんて千差万別じゃないですか。外野の人が何か言う筋合いのものでもないし、質問者さんが仮にね、そういう動機で公務員いいなーって思ったんだとしても、全然問題ないと思います。

だからまず、消極的な理由で公務員を目指しているっていう自分を卑下しないこと。全然よくない?っていうふうに思っちゃったほうが楽になれると思いますし、多分その方がいい、というのが私の意見ですね。

そのうえで、じゃあこれから何をしようか、みたいな話なんですけども。僕のオススメとしては、公務員の説明会だけじゃなくて、民間の説明会も行ってみるといいんじゃないのかなと思うんですよ。

っていうのはね、今質問者さんは民間行くか、公務員行くか、公務員消極的な理由しかないし…っていう感じで、要するに2つの意思決定、どっちを選ぼうか迷ってるわけじゃないですか。で、迷ってるんだったら、とりあえずその2つの組織について、どっちも知ってみることが大事だと思うんですよね。

つまり、片一方のことしか知らないと、当たり前ですけれどもベストの意思決定ってなかなか出来そうにないですよね。凄く雑な話になっちゃうんですけど、綾鷹も飲んだことがある、生茶も飲んだことがある、そのうえで、やっぱり綾鷹だなっていうのと、綾鷹しか飲んだことがない状態で綾鷹だけ飲みます、綾鷹を選びます、っていうのって、ちょっと意思決定の意味が違うじゃないですか。

だからとりあえずね、完全に飲むことができないにしても、どっちも買ってみて匂いを嗅いでみるぐらいのことをすれば、やっぱこっちのほうがいいかなーとかって、何か意思決定を下すときに参考になるかもしれないですよね。なので、今質問者さんは予備校にも入っていて、公務員1本!みたいな感じなのかもしれないですけれども、でも僕は民間の説明会だったりとか、場合によっては短めのインターンシップとか、民間にも足を運んでみるといいと思います。

で、そうすると2つのもの、だいたい民間と公務員ってこんな感じなんだー、っていうのが雰囲気だけでも分かるじゃないですか。そうなったら、あぁやっぱり自分はこっちかな、っていうふうに、意思決定を下しやすくなるし、下したときの満足感が多分高まると思うんですよ。

なので、もしも「うーん…どうしよう…」っていうふうになってるんだったら、公務員だけに目を向けるんじゃなくて、民間についても情報を集めてみようかな、ぐらいの感じをもっておくといいと思います。ただし、気をつけなきゃいけないのが、じゃあどこまで情報を集めればいいのかっていう話なんですね。

で、これについては究極レベルまで情報を集めようとすると、多分いいことないと思います。これ、心理学の研究結果を引用しようと思うんですけれども。

コロンビア大学のアイエンガー教授の研究で面白い研究があるんですけど、大学4年生ですよね、大学を卒業する前の4年生に調査をしました。どういう調査をするのかというと、就職先についてまず聞きますと。そのうえで、その個人に対して「あなたはベストを追求するタイプの人間ですか?それとも適度でOK というタイプの人間ですか?」っていうのも調査したんですね。

つまり、就職先だったりとか、色んな意思決定にあたって、ベストじゃないとダメです!っていうタイプなのか、それとも適度でOKなんじゃないんですか、みたいなタイプか調査したんですよ。で、卒業してからも追跡調査を行ったんです。

そしたらどうだったかというとね、ベストを追求派の人達っていうのは、適度でOK派の人たちに比べて、20%くらい給料が高かったんですよね。あくまで平均値ですよ。

つまり、客観的に見たときには、ベストを追求派のほうが明らかに給料が高い、いい仕事に就いているんですよ。ところが面白かったのは、どっちのほうが幸福感が高かったのかというと、適度でOK派のほうが高かったんですよね。

これ面白いですよね。つまり、ベストを追求派の人達は色んな情報を集めたうえで意思決定を下している、だから客観的に見ていい仕事に就けているんですけれども、満足感が低いと。

何でっていったときに、アイエンガー教授の仮説としては、ベストを追求派の人達は選ばなかった選択肢のほうが良かったんじゃないか…?というふうに、迷いをもっちゃうらしいんですよ。なんとなくこれ皆さん分かるでしょ。

もしかしたらあっちのほうが良かったんじゃないかな…とかっていうふうに思っちゃいがちだと。だから、それが幸福感と満足感に対してネガティブな影響を与えているんじゃないの、っていうふうに論文には書かれているんですよね。

なので、ここからはどういうことが言えるのかというと、ある程度の情報が揃ったんだったら、あとは自分の直感に従ってバツンとどっちかを選んじゃうほうが多分ハッピーになれるということなんですよ。

だからね、民間についても情報を集めていって、自分にとって最適な判断をしていこうというのはとっても大事なんですけれども、でもある程度の情報が揃ったのであれば、最後は直感で決めてしまうほうが、きっと質問者さんにとっても良い意思決定になるんじゃないかなと思います。

ただ、まず今日のところでは、別に消極的な理由で公務員を目指していても全然いいんじゃないの?ということ。そのうえで、意思決定に迷ってるんだったら、民間についても公務員についてもどっちも両方を集めてみましょうということ。

でも集めすぎると、かえって情報が多くなってもしかしたらアンハッピーになっちゃうかもしれないから、適度に情報が集まったのであれば、あとは自分の直感に従って意思決定をバツンとしていくのが一番いいんじゃないのかなと思います。

ということで、もしかしたらね、また公務員試験の勉強を続けていく中で迷うこともあると思うんですけど、そうなったらそうなったで、また話を聞こうじゃないのっていうのが私の本音です。

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筒井夢人

面接研究所を運営している筒井夢人と申します。プロ講師として、公務員試験の面接指導を長年行ってきました。なお、自身も公務員試験を受験しており、国家公務員(総合職・一般職)・県庁・特別区・横浜市・仙台市などに最終合格しています。

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