【公務員試験】社会人が大卒枠を受けると不利?

今回は、お悩み相談会ということで。皆さん方からおたよりフォーム経由で頂いた質問・悩みに回答していきたいと思います。今回取り扱うトピックは「社会人が大卒枠を受けると不利になるんでしょうか?」こういったものであります。

これを見ている皆さん方の中には当然、社会人として働きながら公務員試験を受けていくという方も大勢いらっしゃると思います。

そのときに、受けていく枠には大枠2通りのものがありますよね。すなわち学生が基本的に受けることの多い「大卒程度枠」と言われるもの。そして社会人が受けていくことの多い「社会人採用枠」。この2つの枠があると思うんですよ。

多くの社会人は社会人採用枠で受験していくと思うんですけども。中にはですね、「いや自分は社会人なんだけども、年齢要件とかで見たときに大卒枠も受けられるのでこっちを受けようと思ってるんです」そういう人もいると思うんですよ。

ところがその方々の中には、「でもやっぱり大卒枠だと学生が基本なので、社会人の自分は不利になっちゃうのか?」そういう風に悩んじゃう方が結構いらっしゃるみたいなんですね。

そういうおたよりを実際かなり頂きましたので、今回は「社会人が大卒枠を受けたときに不利になってしまうのか」私なりの見解をご案内したいと思います。

なお、下記のYouTube動画でも解説を行っているので、併せてご視聴ください。

学生と比べると不利?

まずは社会人の皆さん方が最も気になっているであろう、学生と比べると社会人は不利なのか?この点についてご案内したいと思います。

結論から申し上げますと、“社会人である”という属性だけで不利になることは絶対にございません。すなわち学生と比べて不利になることはないということであります。

どうしてかと言ったときに、端的に理由を申し述べてしまいますと「時代の流れ」というやつですね。

まず一昔前の公務員試験、もうそれこそ20年前とか30年前とかくらいですかね。こういった時代には確かに年齢によって有利・不利、あるいは新卒だから有利とか既卒だから不利とか、そういったものは存在したように思います。

ですけれども、ちょっとずつ明らかに労働市場における新卒・既卒、こういった人たちへの見方って変わってきてますよね。

例えば一昔前だったら、新卒じゃないと入れない組織って山のようにありましたよね。一般的に言っても、民間企業に例えば新卒以外で入るルートっていうのは一昔前には存在すらしなかったわけですよ。

ですけれども今の労働市場はどうかと言ったときに、新卒という枠以外にも例えば「第二新卒」と言われる枠すら存在してますよね。それ以外にも「中途採用」「社会人採用」というように新卒以外のルートで、ある組織に入ることがすごく一般的になってきてますよね。

ですから新卒か新卒じゃないかというのがあまり意味を成さなくなってきている。もちろんその影響がゼロとまでは言いませんよ。ですけれども少なくとも、民間の労働市場においてすら新卒か新卒じゃないかというのはそれほど重要ではなくなりつつある、と。

同じことが公務員試験にも言えると思うんですね。繰り返しになりますけれども、20・30年前であれば確かに新卒か新卒じゃないかというのはすごく重要な変数でした。

ですけれども昨今の公務員試験に関して申し上げるのであれば、新卒かそうでないかというのはそれほど大きな意味を持たなくなってきてるというのは間違いないと思います。

ですから社会人の皆さん方が学生と同じように大卒枠を受けたときに、社会人であるというだけで不利になるということは一切ございませんのでぜひ安心していただきたいと思います。

どう差別化したらいい?

では次の話に移りましょう。なるほど、学生と比べたときに自分たち社会人が社会人であるという理由だけで不利になることはどうやらなさそうだ、と。

でも自分たちとしては学生たちに絶対に勝って、その上で最終合格を確実に勝ち取っていきたい!それを考えたときに、皆さん方は何らかの形で「差別化を図りたい」とお考えになると思います。

では学生と戦っていくときに一体どう差別化を図ればいいのか?

重要になってくるのが、差別化の核になってくるのは常に「相手にはなくて自分にはあるもの」である。この重要な事実です。皆さん方が学生に対して何らかの差別化を図りたい場合には、「学生が持っていないけれども皆さん方が持っているもの」にフォーカスする必要があるわけですね。

では学生になくて社会人にあるものとは一体何でしょうか?これを考えていくために、ここでは具体的な事例を出しながら紹介をしていきたいと思います。

ということで例のごとく、ちいかわでご案内していこうと思うんですけども。

今回の登場人物はズバリこの2人。すなわち主人公である「ちいかわ」、そしてこちらに御座します方はちいかわ界におけるトップランカー「ラッコ先生」、歴戦の猛者であります。

『ちいかわ』ナガノ/講談社

で、ここでは「新卒の学生=ちいかわ」「社会人の皆さん方=ラッコ先生」と置き換えて考えてみていただきたいんですけども。

先ほどの問いかけに戻りますと、皆さん方は”学生になくて自分たち社会人にあるもの”を核として差別化を図るのがいいんじゃないだろうか、と。

さて、では皆さん方考えてみましょうね。ちいかわになくてラッコ先生にあるもの。これは一体何でしょうか?それはズバリ「職務経験」ですよね。

確かにちいかわも草むしり軽めの討伐、そういった形で働いてはいる。いわばこれはアルバイトみたいな形になるわけですけれども。

『ちいかわ』ナガノ/講談社

しかし、ちいかわはそれ一本でガチガチに飯を食ってるのかと言われるとちょっと微妙なところがありますよね。少なくともガチガチに専業の労働者かと言われると、ん~どうなんだろうというところがやはりある。

それと比較したときにラッコ先生はいかがでしょうか?専業のランカーとして仕事ガッチガチに取り組んでますよね。その結果としてラッコ先生にはものすごく豊富な討伐経験がある。すなわち職務経験があるということなんですよね。

『ちいかわ』ナガノ/講談社

ということで話をまとめると、ちいかわになくてラッコ先生にあるものは職務経験である、と。だとしたらこれ、どう考えても差別化の核にすべきなのは「職務経験」と言えそうですよね。

だってちいかわにはそれがないわけですから、絶対にその部分でラッコ先生に勝つことはできないわけです。逆に言えばラッコ先生は、その部分に関してはちいかわに対して圧倒的な優位性を持っている。なのであれば、やはりその部分をしっかりとPRするのが良さそうな感じがいたしますよね。

ということで、この話は皆さん方にそっくりそのまま当てはまります。

すなわちですね、学生にももちろんアルバイトといった形で労働市場に参加した経験は当然あるでしょう。ですけれども社会人である皆さん方はフルタイムでそれに従事している。すなわち専業の労働者として職務に従事してきたわけですよね。そしてこの経験というのは学生は絶対に持っていないんです。

だとすれば皆さん方は、自分だけが持っている職務経験をしっかり言語化してPRできるようにする。これが皆さん方の差別化の一丁目一番地・基本のキになります。

ですから皆さん方にあっては、いやそんなに大した職務経験もなくて…と思ってしまったとしても、どんな職務経験だったとしてもフルタイムでの労働経験というのは学生が絶対に持っていないものですから、皆さん方の方がその点では有利になることは間違いありません。

ですから自分が一体どういう業界で働いていて、どういう職務を積んでいて、どういう経験を重ねてきたのか。こういったところについてしっかりと言語化してPRできるようにしていく。この部分をガチガチに力を入れていただきたいと思います。

大卒枠を受けるときの注意点

ということで、社会人の皆さん方は学生と比べたときに不利にはならない。あわせて、どうやって彼らと差別化を図っていくのかということを考えたときに、皆さん方だけが持っている職務経験をその軸にしていくと良かろう。こういうことをご案内いたしました。

その上でですね、社会人が大卒枠を受けるときの注意点について2つほど紹介しておきたいと思います。

筆記試験を舐めない

1つ目が、筆記試験を舐めないことであります。昨今の公務員試験、特に大卒程度枠に関しては若干ですけれども倍率が低下傾向にあるということで。まぁそんなに筆記試験やらなくたって1次試験は通過できるでしょ!という風に油断している社会人がすごく多いんですね。

ですけれどもよくよく考えてみていただきたいのは、皆さん方が戦うことになる学生というのは、筆記試験の勉強に徹底的に注力する時間と体力の余裕がものすごくあるわけですよね。だって皆さん方がまさに仕事をしている時間も大学生は勉強だけに集中できるわけですよ。

ですから当然筆記試験に関して言えば、大学生たちのほうがアドバンテージがあるというのは誰の目にも明らかだと思うんですよね。時間的な余裕・体力の余裕・エネルギーの余裕、様々な余裕がやはり学生のほうがありますから。

ということを考えたときに、全体として仮に筆記試験の倍率が低下傾向にあったとしても、皆さん方が戦うことになる相手は皆さん方以上に筆記試験に対して多くのリソースを投下できる人たちなんです。ですから筆記試験に関して、皆さん方の競争相手である学生は徹底的に鍛えてくる可能性が高い。

だからこそ、たとえ全体としての倍率が低下傾向にあったり、あるいは筆記試験の倍率が低下傾向にあったとしても、皆さん方は絶対に油断をしてはならない。

ぜひ「自分の主な競争相手というのは筆記試験の対策をしっかり固めてきている人たちである」これを認識・自覚した上で、だから自分もしっかり筆記対策をやらなくちゃいけない、筆記試験を舐めちゃいけない、このマインドをぜひ覚えておいてほしいと思います。

面接でアドバンテージを取る

2つ目が、面接でアドバンテージを取ろうということであります。

1つ目のところでご案内したとおり、残念ながら筆記試験までのタイミングでは学生のほうが相対的に有利な立場にある。なぜなら時間・体力、様々なエネルギーを筆記試験だけに注力することができるからです。

ですから全体的な傾向としては、1次試験までのタイミングではやはり学生が有利になる。そういうことは言えようかと思います。

だとするとどこでリカバリーを図ればいいのか?アドバンテージを取ればいいのか?これはどう考えても面接でアドバンテージを取ろうという話になってくると思うんですよね。

ですから皆さん方は、極端なことを言えば筆記試験に関しては学生に遅れを取っても構いません。ですけれどもその代わりに面接では必ずアドバンテージを取る必要があります。ですから、面接対策を徹底的にやるぞ!こういったマインドもあわせて持っておいてほしいんですね。

そしてその上で、じゃあどうやってアドバンテージを取ればいいのか?どのように学生と差別化を図ればいいのか?といったときに、これは先ほどご案内をしたように、皆さん方だけが持っている職務経験をしっかりと言語化して、志望動機・やりたいこと・PRポイント、こういったことを絡めながら面接官に訴求していく。これが非常に重要になってまいります。

繰り返しになりますけれども、社会人経験すなわち職務経験があるという意味で皆さん方は面接において明らかにラッコ先生並みの力を持っています。

ですからラッコ先生である自分たちだけが持っている職務経験についてはしっかりと磨き上げた上で、それを言語化して丁寧に説明できるようにしておかなくてはならない。これが皆さん方が面接対策に向けてやるべきことの原点であり頂点であります。

ですから何はなくても、自分自身の職務経験をしっかりと練り上げて言語化する。これを必ず忘れずにやっておいていただきたいなと思います。

✅面接対策専門チャンネルの紹介

公務員試験ゆる面接chでは、元公務員&元TAC講師&全国弁論大会最優秀賞の経験を活かし、公務員試験の面接対策について専門的に情報発信を行っております。

継続的に視聴するだけで、面接で重要となるマインドセットを手に入れることができるでしょう。

詳細は下記のリンクをクリック!

当サイトについて
筒井夢人

面接研究所を運営している筒井夢人と申します。プロ講師として、公務員試験の面接指導を長年行ってきました。なお、自身も公務員試験を受験しており、国家公務員(総合職・一般職)・県庁・特別区・横浜市・仙台市などに最終合格しています。

社会人の面接対策