【相談内容】
先日、公務員から公務員への転職で質問に回答してくださりありがとうございました。
筒井先生の意見を聞いて、公務員から公務員への転職をしようと決めました。
面接について質問なのですが、面接を受ける時点ではまだ1年間公務員として働いていない状況ですが、そこをアピールしても良いでしょうか?(例、公務員としての職務のあり方を理解した等。)
1年もたっていないのに語るのは、どういった印象を持たれるのでしょうか?また、大学4年時代に受けた公務員試験の面接と社会人として受ける面接で気をつけるべき点は何でしょうか?
【はじめに】
とてもよいご質問です。
質問者さんに限らず、この記事を読んでいる方の多くは、1〜2年働いた状態での転職を考えているのではないでしょうか。そうした方にも参考になるよう、お答えします。
話すのはアリだが…
ご質問には、次のような一文がありました。
まだ1年間公務員として働いていない状況ですが、そこをアピールしても良いでしょうか
結論から言うと、話すのはアリですが、私なら積極的にはアピールしません。
まず、話すのはアリという点から説明します。質問者さんは実際に公務員として働き、職場の雰囲気や空気感を肌で感じてきたのではないでしょうか。
であれば、それについて話すこと自体は大いにアリだと思います。公務員になったことがない人は、そうした雰囲気を知りません。
ある意味では、質問者さんにしか分からないことなのです。ですから、それを話すこと自体には大賛成です。
それでも積極的に話すことを勧めないのには、きちんとした理由があります。
面接では、当然ながら面接官と向き合うことになります。最終面接に近づくほど、面接官には年配の方が増えていくものです。
組織にもよりますが、そうした方々は少なくとも10年、20年、人によってはそれ以上、公務員として働き続けてきた人たちです。いわば公務員のプロといえるでしょう。
中には、プロとしての仕事をしていないように見える人もいるかもしれません。それでも平均的には、公務員として長く働いてきた方が面接官の席に座っています。
そう考えると、まだ1年も公務員をしていない人が「私は公務員のことを分かっています」という雰囲気を出したとき、面接官は少しカチンとくるのではないでしょうか。かなり雑な言い方をすれば、「君に何が分かるのか」と思われかねません。
これは公務員に限らず、ほかの世界でも同じです。野球に置き換えてみましょう。
プロ野球選手の多くは、小学生のころ、人によっては幼稚園のころから野球を始め、早い人でも18歳か19歳でプロになります。つまり、10年以上野球に携わって、ようやくプロになれるわけです。
そうした人たちに向かって、草野球を1年ほど前に始めたばかりの人が「野球というのはね」と語り出したら、プロからすると面白くないでしょう。「君に分かるのか」と思われてしまいそうです。
少し話がそれますが、私はプロとアマチュアの違いは、何よりも継続性にあると考えています。
長く続けているかどうか。ここが、プロとアマチュアの大きな違いです。
プロはそれで生計を立てているので、毎日、特定の業務に何年も取り組み続けています。
アマチュアは、ある時期に集中して活動することがあっても一過性にとどまりやすく、継続性でプロに劣るのは明らかです。
話を戻すと、こうした観点から見れば、質問者さんは現段階ではまだ公務員のプロとはいえないでしょう。だとすると、公務員としての経験を積極的に話すのは、少しリスクがあるかもしれません。
では、どの程度がよいのか。私が質問者さんの立場なら、自分についてアピールしたいことは、大学4年生のときの公務員試験で話した内容をそのまま使うと思います。
1年で自分の長所がそっくり入れ替わることは、まずないはずです。ですから、そのまま転用してまったく問題ありません。
一方で、面接官から「公務員を1年ほど経験して、何か感じたことや得られたことはありますか」と聞かれることもあるでしょう。その場合は、自分なりに学んだことを話せばよいと思います。
ただ、そのときも控えめで謙虚な姿勢を見せたほうがよいでしょう。たとえば「まだ1年も働けていないため、あくまでイメージになってしまいますが」「1年未満の経験で僭越な言い方になりますが」といった前置きをして話すと思います。
つまり、話すのはアリですが、私は積極的に話すことまではおすすめしません。
経験に即して話す
続いて、ご質問の後半です。
また、大学4年時代に受けた公務員試験の面接と、社会人として受ける面接で気をつけるべき点は何でしょうか
結論から言うと、社会人の場合は、経験に即して話すことが必要だと考えています。質問者さんはまだ1〜2年しか働いていないため、あまり参考にならないかもしれませんが、意識としては大切です。
経験に即して話すとはどういうことか。ここで重要になるのが、「新卒の学生と社会人経験者の本質的な違いは何か」という問いです。
違いはいろいろ考えられますが、私は、フルタイムで働いた経験があるかどうか、その一点に尽きると思います。
たとえば能力でいえば、大学生にもとても優秀な人はいます。なんとなく働いている社会人よりも優秀な大学生や新卒の方は、山ほどいるでしょう。
ですから、能力は新卒と社会人の本質的な違いではありません。
社会人にあって学生にないものは何かといえば、週5日フルタイムで働く労働経験です。多くの学生は、この経験を持っていません。
つまり、本質的な違いはフルタイムでの労働経験の有無にある、というのが私の考えです。
そうであれば、面接ではそこに焦点を当てて話すことがとても大切です。社会人経験が3年、5年、10年とある方が経験者採用や氷河期採用を受ける場合には、自分のフルタイムでの労働経験に即して話すことが重要になります。
学生との本質的な違いが、そこにあるからです。ただし質問者さんの場合、働いた期間が1年未満なので、まだそれほど豊富な労働経験はないかもしれません。
それでも、短い期間ながらフルタイムで働いてみて、何を得たのか、どんな気づきがあったのか。入る前と入った後で、どのようなギャップがあったのか。
こうした点を丁寧に言葉にして整理しておくことは、とても重要です。
まとめ
今回の内容をまとめます。
まず、働いた経験が1年ほどしかない場合、その経験をアピールするのはアリかもしれませんが、積極的にはおすすめしません。
次に、社会人として受ける面接で意識すべきなのは、労働経験に即して話すことです。新卒の学生と社会人の本質的な違いは、フルタイムで働いた経験の有無にあるからです。
こうした点に気をつけながら、面接対策を進めてください。経験者採用試験について、ほかにも聞きたいことが出てきたら、またご質問をお寄せください。
なお、社会人採用の面接で強く意識したいことについては、下記の記事で詳しく解説しています。

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