【特別区経験者採用】人気区は避けるべき?

【相談内容】

特別区経験者採用の希望3区について悩んでいます。

入りたい区が人気区の場合はどうすればいいのでしょうか?

合格するためにはあまり人気のない区や採用人数の多い区を選ぶほうがいいのでしょうか?

【はじめに】

これは非常によくいただく質問ですねぇ。

どうすればいいかわからない、という受験生も多いのではないでしょうか。

ですので、この際私どもの意見を述べてみたいと思います。

なお、下記のYouTube動画でも解説を行っているので、併せてご視聴ください。

「人気区」について

まずなんですけれども、ここでいう「人気区」ですね。どこのことをおっしゃってるのか正確にはわかりかねるんですけれども、厳密に申し上げますと、「どこが人気区かはわからない」のが本音なんですよね。

どうしてかって言いますと、例えば特別区人事委員会。どこが人気区かは、もちろん発表していないですし、各受験生がどこを希望区として書いたのかも正確にはわからないじゃないですか?そうですよね?

実際、区面接に入ってから何人が特定の区を受験したのかも全然わからない。ブラックボックスなので、どこに人気があったのかは、正直言って全くわからないんです。

で、もしかしたら質問者さんは特定のサイトやブログで「ここが人気です!」と書いてあるのを見て、「へぇ~、ここ人気あるんだ!」と思ったのかもしれません。ですが、ここについても申し上げる必要があるでしょう。

私もプロとして、いろんなサイトやブログを見ております。ですが、「統計学的に、これは確かに信頼できる」そういう推定結果を発表してるサイトは正直言ってほぼありません(強いて申し上げれば「特別区攻略ゼミナール」さんなどは参考になるかもしれませんが…)。

具体的に申し上げますと、

・サンプルの取り方にすごく偏りがある
・サンプルサイズが公表されていない
・ウェイトの付け方が非常に恣意的

手前味噌にはなりますが、私は大学院で統計学・計量経済学を勉強してきた人間です。その私からすると「統計の取り方が明らかに不適切」「仮定に妥当性がなく、推定方法も信頼性を欠いている」ものが非常に多いと言わざるを得ません。

ということでもありますので、ネット上で「ここが人気区だ!」という情報を見つけたとしても、あまり鵜呑みにはしない方がいいんじゃないのかな?ってのが私の意見ですね。

Ⅰ類と経験者採用の違い

重ねて申し上げますと、そういうネット上に出回っている情報って、大抵の場合特別区Ⅰ類。すなわち大卒程度試験について言及しているものがほとんどだと思うんですよ。

で、私の指導経験の範囲で申し上げると、希望3区として受験生が選ぶ区、Ⅰ類と経験者採用でかなり乖離がある感じがするんですよ。あくまでこれは私の体感で、Noエビデンスなんですけども。

どういうことかと言いますと、Ⅰ類の方々が希望区として選ぶのって、割とわかりやすくキラキラとした区なんですよ。イメージとしては、千代田区、渋谷区、港区とか。

なんとなくわかりますよね?少なくとも響きとしては、キラキラしてる感じがするじゃないですか?

ってな感じで、大学生は割とイメージ先行で希望区を選んでる印象があります。私の指導経験の範囲では、ですけど。

それに対して、経験者採用の方々は既に家庭があったり、お子さんがいたりとか、そういう事情もあるので、どこを希望区として選ぶかってときに、イメージよりかは「通勤がしやすい」とか、そういった実利的なところを基準にして選んでいく人が多い印象があります。なので、Ⅰ類では皆イメージ先行で選ぶので特定の区にバーッと集中するけれども、経験者採用に関しては「ここがぶち抜きで人気ですね!」っていうのは体感としてはナイですね。

もちろん、これはNoエビデンスでありまして、統計的な裏付けはありません。ただ、やはり実感としては、Ⅰ類と経験者採用では希望区の選び方に違いがあるなぁと思います。

実際、昨年Gravityをご利用になった方々も、希望3区にはかなり散らばりがありました。特定の区に人気が集中しているとか、そういった傾向は一切ございません。

ということでもありますので、少なくとも経験者採用で希望区を選ぶときには、人気区かどうかを判断基準として重視しなくてもいいんじゃないのかな?ってのが私の率直な意見ですね。

採用人数で選ぶと…

重ねて申し上げると、「採用人数の多い区を選んだほうがいいんでしょうか?」っていうのも、ものすごくよく聞かれるんです。

結論から申し上げますと、希望3区を選ぶ際に、採用人数の多寡で判断するのは推奨できません

どういうことかと申しますと、質問者さんは少なくとも現時点では「採用人数が多い区の方がきっと入りやすいんだろうな」と思ってらっしゃる。だとすればですよ、おそらく質問者さんだけではなくて、他の受験生も全く同じように考えるはずですよね?

だって「自分はそのように考えるけれども、他の人たちはそんなふうには考えない」っていう仮定はどう考えても不自然ですから。となると、採用人数が多い区に対しては、質問者さんだけではなくて、他の受験生も同じように希望区として選ぶだろうと予想できます。

そうなりますと、確かに採用人数は多いかもしれないけれど、その採用人数の多さに引っ張られて、多くの受験生がそこを希望区として選ぶわけで。そうなると、結果としては受験生間の競争は激しくなるでしょう。

もちろん、採用人数が多い区に対して、質問者さんしかそこを選ばないのであれば戦いは緩くなると思います。でも、質問者さんがそういうふうに考えている以上、他の人たちだって同じようなことを考えるわけで。

ということでもありますので「採用人数が多い=入りやすい」という考え方は妥当ではありません。ですから、受験案内に記載されている各区の採用人数、これだけを判断基準として希望3区を選ぶのは少し不適切ではないかと私は考えております。

「語れる」区を選ぼう

じゃあ、どこをどうやって選べばいいんですか?

という話になってくるわけですけれども。

結論はいたってシンプルでありまして「どうしてここを選んだんですか?」という問いに対して「こうだからです」と理由を語れる区を選ぶのが絶対に一番良いと思います。理由といったときには様々なものが考えられると思うんですね。

例えば、実際にある区に住んでいて、そこに生活拠点がある。で、愛着やなじみもあるからそこを選んでいく方もいらっしゃるでしょう。

あるいは、大学がその区にあったから、一番なじみがある。そういう方もいるでしょう。

もしくは経験者であれば、本社が〇〇区にあって、そこを選ぶという形もあるかもしれません。もちろん、なじみや愛着以外のものも、当然理由になります。

例えば、私は特別区経験者採用を受験したとき、第3希望区に足立区を書いたんですけれども。

どうして足立区なんですかと言われたら、理由は簡単でありまして。私、大学院での専攻が教育経済学という分野だったんですけれども、足立区は教育分野でかなり先進的な取組をやってるんですね。

私はそれを知っていたので「これは素晴らしい取組をしてるぞ!」ということで惹かれたんですよ。で、面接でも「それを理由に足立区をを選びました」と言ってました。

こういう「理屈」とか、政策・取組・事業。名前は何でも結構ですけれども、それを基準にして区を選んでいく形も大いにアリです。

いずれにしても「こういったものに惹かれて、ここを選んだんです」と、理由をきちんと話すことができるのであれば、人事委員会面接でも区面接でも、「なんで?」という問いにクリアに答えることができますよね?こういったストレートな理由で区を選んだほうが、面接に入ってから結果として戦いやすくなると思います。

反対に

「ここは人気がないだろう…」
「採用人数が多いから入りやすいだろう…」

という理由で区を選んでしまうと、「何故この区を選んだんですか?」という問いに答えることができなくなります

すると、選定理由を何も語ることができず、面接で落ちてしまうことにもなりかねません。皮肉なことに、楽に入れそうという理由「だけ」で区を選ぶと、結果として苦戦を強いられるわけですね。

ですので、希望3区を選ぶときには、人気・不人気、採用人数の多寡、そういったものは一旦忘れたうえで、

・どこに地縁、愛着、なじみがあるか
・どこの取組が良いと思えるか

そういった素朴でシンプルで、面接でも話せるものをベースにすべきだと私は考えております。

ということで、今回は希望3区について、皆さん方にご案内をいたしました。この希望3区は、エントリーをした後一切変更・訂正することができません。

エントリーまでの時間はまだまだあるわけですけれども、ご自身にとってどの区が良いと思えるか。もう一度、ゼロベースで考えてみてください。

なお、希望区選びについてはGravity講師の森田りさ先生が非常に優れた記事を書いてらっしゃいますので、下記のリンクから一読することを推奨いたします。

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筒井夢人

面接研究所を運営している筒井夢人と申します。プロ講師として、公務員試験の面接指導を長年行ってきました。なお、自身も公務員試験を受験しており、国家公務員(総合職・一般職)・県庁・特別区・横浜市・仙台市などに最終合格しています。

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